NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。北国も桜が咲き始めましたね。事務局の近所の桜は先日の風雨に耐えて、まだきれいな花を咲かせています。みなさまいかがお過ごしでしょう。

 さて、2021年1月にスタートしたがんサバネット通信が、とうとう第70号を迎えました! 記念すべき本号は、会員・佐野潤一郎さんのエッセイから始まります。どうぞさいごまでお読みください!

【目次】—————

1.      リレーエッセイ「朝に寄り添う」 会員・佐野潤一郎

2.      4月の「お鍋のじかん」~4/24 午後7時から開催します

3.      設立3周年記念フォーラムの動画を「会員限定」ページで公開!

4.      「全国地方自治体補助金等プロジェクト」進行中です!

■■ 1. 「朝に寄り添う」 会員・佐野潤一郎

朝は3:50が私の起床時間。いわゆる朝型で仕事をする。原稿や論文を書いたりするのに夜は不向きだと思っている。夜に書いた原稿を、翌日に読み返してみると気に食わない箇所がやたらにある。だから、私は夜に文を書かない。朝の仕事に備えて、夜は休む。

教えている学生には朝型は1割程度しかいない。夜型がほとんどだが、その1割の朝型の学生のほうが、面白い発想をする。私が朝型を擁護するような発言をすると、「でもバルザックは夜更かしでしたよ」反論する気の利いた学生もいる。

たしかに世間では、夜型の代表格はフランスの文豪バルザックだとされている。濃いコーヒーを飲んで徹夜で作品を執筆したという伝説があるからだが、実際には彼は究極の朝型人間だったことを、バルザック研究者でもある近畿大学の仏文学者松村博史が突き止めた。論文「バルザックのコーヒー─実生活、作品、神話─」(2015年)のなかで、松村はバルザック縁故者の回顧録を引用し、「夜中の 12 時になると使用人が彼を起こしに来て、彼は再び激しい労働についた」と紹介している。ほら、バルザックはちゃんと早くから寝ている。

私はバルザックほど早起きでもないし、激しい執筆もしないが、メールも電話も来ない静かな朝のほうが、仕事が進むことは実感できる。静かな時間。それは、反面、病を得た人にとって、淋しい時間でもある。

今年がんで亡くなった妻は、毎夜、朝が来るのを待ちわびていた。病室で付き添っていても、朝が来るまで手を握っていて欲しいと懇願する妻だった。世間が寝静まっている時間の淋しさというのは、よくわかる。この半年、妻に付き添うために仕事を休み、朝の執筆時間もすべて妻との時間を優先させてきた。いま、妻がいなくなって、朝の仕事を再開しながら思う。この早暁に不安を抱えた人に、どうにかして寄り添えないだろうか。妻が不安だったように、きっと不安な人はいる。がんの家族を持ってみて、はじめてわかることもある。

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【事務局より】佐野さんご夫妻は、2022年11月6日に開催したオンラインカフェ「家族のがん~ともに歩むサバイバージャーニー」に出演してくださいました。潤一郎さんと敬子さんの素敵な夫婦漫才を、公式サイトの「会員限定」ページからぜひご覧ください。潤一郎さんからは、さらにエッセイを何本か頂いています。これからもご紹介してまいりますね。

※がんサバネット通信ではみなさまのご寄稿をお待ちしています。600-800字程度のエッセイを、いつでも事務局までお送りください。

■■ 2. 4月の「お鍋のじかん」~4/24(水) 午後7時から開催します

毎月第4水曜日午後7時からのオンライン交流会「お鍋のじかん」、4月は24日です。お申込み不要、お出入り自由。お気が向いたら、どうぞお寄りください。自己紹介、近況報告、最近気になっていることなど、語り合いましょう。

トピック: 4月のお鍋のじかん

時刻: 2024年4月24日 07:00 PM (遅くとも8時半ごろまで)

■■ 3. 設立3周年記念フォーラムの動画を「会員限定」ページで公開!

2月10日に開催した設立3周年記念フォーラムの記録動画が、「会員限定」ページで公開されました。東北大学田代志門さんの基調講演「病いの語りが生み出す『つながり』とは」のあとに、理事の堀内玲子さん、副代表理事の村本高史さん、金沢医大医療ソーシャルワーカーの久村和穂さんから、語ること、伝えようとすることについて、ご経験にもとづいたお話が続きました。当日見逃した皆様も、ぜひご覧ください。

■■ 4. 「全国地方自治体補助金等プロジェクト」進行中です!

NPOがんサバネットでは、会員有志のみなさまのお力を借りて「全国地方自治体補助金等プロジェクト」を進めています。10種類の補助金等を一気に、市町村レベルで調べることができるのは、がんサバネットのこのサイトだけです。

おかげさまで昨年から今年にかけて、かなりの進捗がありました。青森・岩手・埼玉のデータを更新するとともに、秋田・東京のデータを新規公開。近いうちに、宮城の更新、奈良・愛媛・福岡の新規公開も予定されています。

 がんサバネットでは、時間をかけて、全国の自治体ががん患者さんに向けて提供する補助金等の検索と公開を続けてまいります。これまでサポートしてくださったすべてのみなさま、本当にありがとうございます!そして、ちょっとだけなら手伝えるよ~という方、無理のない範囲でOKです。事務局までご連絡くださいね!!

以上

【配信元】—————————–

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