NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。全国で地震が相次いでいますね。携帯電話から流れる、あの緊急地震アラームの音にはどうしても慣れることができません。みなさまの周囲の被害が最小限でありますようお祈りいたします。

さて、今回はリレーエッセイを2本お送りします。いずれも、3/5の設立2周年記念フォーラムに関わるものです。東京都渋谷区在住の会員中村智志さん(フォーラムにもご登壇)、神奈川県横浜市在住の会員小野貴子さん、ご寄稿ありがとうございました。フォーラムの記録動画は会員ページからご覧になれます。あのときの語り合い、ふりかえってみませんか?

【目次】—————

リレーエッセイ①「柔らかく、緩やかに」 会員中村智志

リレーエッセイ②「2周年記念フォーラムを拝見して」会員小野貴子

「楽しむ」活動~公式サイトMy Favorite Placeへのご投稿お待ちしています!

■■ 1. リレーエッセイ① 「柔らかく、緩やかに」 会員 中村智志

2カ月が過ぎたいまも、ときおり、がんサバネット2周年フォーラムのことを思い出します。私は座談会への出席という貴重な機会をいただきました。ご視聴いただいた方々、関係者のみなさんに改めてお礼を申し上げます。

終了後、6人で近くのクラフトビールのお店に行きました。年齢、性別、職業、がんとの距離感も違うメンバーで、日常の暮らし、これまでの軌跡、家族のこと、企業におけるがん支援、趣味(村本高史さんと私は競馬の話で盛り上がりました)などを縦横無尽に語り合いました。頬が赤く染まっていく中で、私は、居心地の良さに浸っていました。

それはどこから来るのだろう。振り返って浮かんだのが「柔らかく、緩やかに」という雰囲気です。6人に唯一共通するのは、方法はそれぞれであるものの、がんと関わる中で「希望」を灯したいという思い。同じ土俵に乗っていれば、そのうえでどんなダンスを踊ってもOK、みたいな空気がありました(土俵が違っても、かもしれません……)。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、順天堂大学の樋野興夫先生が提唱した「がん哲学」を実践する「がん哲学外来カフェ」が各地で定期的に開かれています。私もその1つに参加しています。テーブルを数人で囲み、互いの話に耳を傾ける。必ずしも答えが見つかるとは限りませんが、終わると次回も参加したいと思う。そんな場です。

カフェで知り合った方が、フォーラムを視聴し、改めてアーカイブもご覧になりました。彼女はがん経験者ではありませんが、感想を伺うと、清水研さんの講演の「マストとウォント」について、自身や周囲の子育てをめぐっても実感することがあり、生きることの本質のように響いたそうです。座談会で前川育さんがおっしゃっていた「感謝できると世界が変わる」、西村詠子さんが運営している「元ちゃんハウス」の優しそうな空間なども印象に残り、全体として、がんでない人にも通じる内容と受け止めてくださいました。

日本社会の特徴とも言われる「同調圧力」。コロナ対策のみならず、職場でも、街中でも、本当は望んでいないのに「圧」をかけ合ってしまう場面もあります。そういう空気を解きほぐすヒントも、がんをめぐる集まりにはある気がしています。

■■ 2. リレーエッセイ② 「2周年記念フォーラムを拝見して」 会員 小野貴子

身近でそして死と向き合う病であるがん。だからこそ、生の喪失体験からその後の生き方までが変わりうる。本企画は人間の成長の可能性と希望を限りなく優しく示してくださった。腫瘍精神科医清水様から、病を得た人が辿りうる発達過程がモデルケースとして示され、それによりそのように理解する布石を敷いていただいたのだが、登壇者のどの方も「利他を志向」されていた。皆様の心のあり様が美しかった。

長く読んでいる宮沢賢治の心象スケッチの一節が浮かぶ。彼が決定的に利他を志向したのはたったひとりのみちづれと呼んだ最愛の妹トシの死がきっかけだった。その悲しみを、青森挽歌の一節に昇華させていく。

・・・・・・みんなむかしからのきやうだいなのだから けつしてひとりをいのつてはいけない

’いつかわたしも’ 利他を志向し、がんサバイバーであることをきっかけとして、そこにとどまり過ぎることなく、誰もが安心して暮らせる場所を創ろうと何かができる日が来るだろうか。

その思いを胸に、目下教師時代の宮沢賢治をテーマとした催しを仲間と企画中である。生真面目なイメージの賢治だが、花巻農学校での教師生活は、教科書も開かない型破りで実践的な授業で、日々生徒に新鮮な感動を与え続けた日々だった。賢治は一人一人の生徒に愛情に満ちた接し方をしたので、どの生徒も自分が賢治に一番かわいがられていたと思っていたそうだ。賢治の深い愛情とでくのぼうの生き方に触れていただける内容となっている。どなたかの心の糧になれば幸いである。

大きな勇気を出してすべてのいきもののほんとうの幸福をさがさなければいけない 宮沢賢治

※こちらの催しにご興味のある方は、”朗読と講演 デクノボー宮沢賢治先生”で検索してみて下さい<事務局>

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※がんサバネット通信のリレーエッセイは、どなたでも寄稿できます。600-800字程度のエッセイを、事務局アドレスまでお送りください。お待ちしております!

■■ 3. 「楽しむ」活動~公式サイトMy Favorite Placeへの投稿をお待ちしています!

みなさま、連休中はいかがおすごしでしたでしょうか?がんサバネットでは、「楽しむ」活動のひとつとして、会員の旅の記録”My Favorite Place” を公式サイトで公開しています。ぜひぜひあなたの旅や故郷自慢を、全国の会員のみなさまと共有してくださいませんか?風景、食べ物、誰かとの交流、感じたこと・・・どんなネタでもOKです。写真数枚と400字程度(字数は応相談)のエッセイを添えて、事務局にお送りください。お待ちしていま~す!

”My Favorite Place”のページ↓

【配信元】—————————–

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