がんサバネット通信第53号 - NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。今日の東京は爽やかな青空です。先日、プランターにオクラの種を蒔きました。そのうちかわいい双葉が生えてくるはずです。ところで、オクラは双葉より芳し・・ではなく、双葉からねばります。ご存じでしたか？

さて、今日の通信は静岡県磐田市在住の会員、石森恵美さんのエッセイ「温かな悲嘆」で始まります。

【目次】—————

リレーエッセイ「温かな悲嘆」　会員石森恵美

「楽しむ」活動～公式サイトMy Favorite Placeにご投稿ください！

2022-2023年　年会費納入のお願い

■■　1. リレーエッセイ「温かな悲嘆」　会員　石森恵美

映画「対峙」がようやく今年2月に日本でも公開された。

アメリカの高校で起きた生徒による銃乱射事件。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った事件を覚えておいでだろうか。映画は、教会の奥にある一室で、加害者少年と被害者少年それぞれの両親が対話するだけの110分。ジャッジはいない。ただ話し続ける。会話として成立はしていない。

罪と罰、許し、埋めようのない喪失、憎しみ、苦しみ、悲しみ。スクリーンを見ていて自然に顔を歪めてしまうほどの、感情が伝わってくる。途中、もしかしたらサスペンス映画なのではないかと考え、不安になる。

母親は弱く、悲しく、優しく強い。他者への気持ちが少し広がるだけで温かさが教会の一室を満たす。「息子に会いたい、眠れない、食事がとれない、自分の悲しみが苦しい。私はあなた方を許したら楽になれるのか。もう私は知っている。息子ではなく私の気持ちだということを」加害者少年の母親にも深い悲嘆がある。和解などできるはずもないが、彼女の心づくしの花かごが、気持ちの変化を受け止めている。

福島会津の野口英世記念館。母、シカがアメリカにいる英世に宛てた手紙を見てきた。雪の時期に見たくて2月を選んだ。文字を書いたことのないシカが誰かに習い、書いた一文字一文字からは悲嘆があふれている。明治45年1月のこと。どんなに立派な研究者になったとて我が息子には変わりはなく、「会いたい」。ここにもジャッジはいない。ただシカが英世を思う気持ちだけだ。句読点さえ満足に打てない、ひらがなと片仮名の混じったシカの手紙を読むというより、見ていると、じんわりと胸の奥が熱くなる。

　「悲嘆（グリーフ）」にはたくさんの形がある。

　「悲嘆は祈りかもしれない」そんなことを最近思う。13年かかった。

そして、自分の中の悲嘆を感じるとき、少しだけそこに温もりも感じられるようになった。

それはたぶん、努力ではなく毎日を生きてきた証しなのだと思っている。

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※がんサバネット通信のリレーエッセイは、どなたでも寄稿できます。600-800字程度のエッセイを、事務局までお送りください。お待ちしております！

■■ 2. 「楽しむ」活動～公式サイトMy Favorite Placeにご投稿ください！

いよいよゴールデン・ウィークが始まりますね。がんサバネットでは、「楽しむ」活動のひとつとして、会員の旅の記録 ”My Favorite Place” を公式サイトで公開しています。これまではコロナ禍のため、心だけを「大切な場所」に飛ばしていました。しかしようやくこの連休中に、久しぶりのリアル旅に出る方や帰省する方もおられることと思います。ぜひぜひあなたの旅や故郷自慢を、全国の会員と共有してくださいませんか？風景、食べ物、誰かとの交流、感じたこと・・・どんなネタでもOKです。写真数枚と400字程度（字数は応相談）のエッセイを添えて、事務局にお送りください。お待ちしておりま～す！

”My Favorite Place”のページ↓

https://jcsurvivorship.net/activity/tanoshimu

■■ 3. 2022-2023年　年会費納入のお願い

NPOがんサバネットの年度は、10月から翌年9月までです。今年度（2022年 10 月～2023 年9月）の会費を受け付けております。会費のお支払い状況がご不明の場合は、どうぞご遠慮なく事務局までお知らせください。個別にすぐご確認いたします。

年会費の振込先は以下のとおりです。

【年会費】　正会員（個人・団体）： 3,000 円　賛助会員（個人）： 7,000円

【会費振込先】

ゆうちょ銀行（ゆうちょ銀行からお振込みの場合）

●記号11350

●番号11522001

●口座名義：　トクヒ）ニホンガンサバイバーシップネットワーク

ゆうちょ銀行（他金融機関から振り込む際）