■■■ がんサバネット通信 第38号 ■■■

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。コロナの第7波が猛威をふるっていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。夏を安全に楽しみたいものですね。

さて、通信38号は、滋賀県近江八幡市在住の会員・山本美穂さんのエッセイから始まります。きっと、ゆっくりした中にも集中の勘所があるので、”少しの緊張”も生まれるのでしょうね。山本さんが今織っている布は、着物の帯になるそうです。

【目次】—————

1.  リレーエッセイ「ゆっくりと、少しの緊張と」 会員・山本美穂

2.  【開催のご報告①】7/9 オンラインカフェ <サバイぶらり― presents “言葉から立ち上る力を” >

3.  【開催のご報告②】7/16-17 会員企画:秋田県<百笑村>農作業体験会

■■ 1. リレーエッセイ「ゆっくりと、少しの緊張と」会員・山本美穂

乳がんになったのは38歳の時でした。その頃、回りに同じ年代のがん患者は少なく、ネットで患者メーリングリストに出会い、画面越しの交流が私に力をくれました。その後、オフ会が行われるようになり、思いがけない出会いが今の私の宝物になっています。

それから26年。
昨年から染織を始めました。コロナ禍で時間が出来たからか、ゆっくり時間をかける作業に心惹かれるようになりました。
5月の頃は、早朝、近くの河原まで出かけ、たくさんのヨモギを摘み、煮出して薄緑の糸に染めました。
先日は、初めて藍染を体験しました。たで藍の葉を乾燥させ発酵させて作る染め方です。発酵させもの(すくも)を藍甕の中で灰汁と日本酒でゆっくり混ぜながら、さらに発酵させていきます。1〜2週間ほどすると、ドロッとしていき、藍の花という泡をつけ、表面は玉虫色に光ってきます。そこに糸を漬けると一瞬エメラルドグリーンとなり、空気に触れて藍色へと発色していきます。自然の不思議さを感じる瞬間でした。そのあとは、水洗いしても、空気にさらしてもずっと藍色のままです。染めの原料となる植物は人の身体に良いと言われるものが多く、特に藍は防虫、抗菌などの作用があり、世界中に広がっています。
また、同じ木や草もどこで育ったか、樹齢や成長の時期で色が違ってきます。外から私たちに見せてくれる表情と少し違う内面の色に植物の新たな発見をしたり、その糸で、カタカタと裂に織っていく時間を楽しんでいます。

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※がんサバネット通信のリレーエッセイは、どなたでも寄稿できます。600-800字程度のエッセイを、事務局アドレスまでお送りください。My Favorite Placeやサバイぶらりーへのご投稿とあわせて、お待ちしております!

■■ 2. 【開催報告①】7/9 オンラインカフェ <サバイぶらり― presents 言葉から立ち上る力を>

7月9日(土)午後1:30~3:15に、オンラインカフェ「サバイぶらり―presents 言葉から立ち上る力を」を開催し、二十数名の方々が参加しました。

第1部で、公式サイトの仮想図書館「サバイぶらりー」から紹介されたのは4冊。小川糸作「ツバキ文具店」(会員・福本由美子さん推薦)、山本周五郎作「さぶ」(副代表理事・村本高史さん推薦)、長田弘作「食卓一期一会」(代表理事・高橋都さん推薦)、はいじまのぶこ作「きこえる?」(会員・西村和佳子さん推薦)。司会を務めてくださったのは、理事の儀賀理暁さん。それぞれの本にまつわるしみじみとした思い出も聞いてくださいました。

第2部は俳人の野崎海芋さんによる俳句教室!俳句の歴史の中で人々が共有してきた基本要素(十七音、季語、切れ字)や余情のお話は、俳句という「謙虚な詩」へのとても素敵ないざないでした。ミニレクチャーのあとは、みんなで実作。そうしたら、どんどんできるできる。チャットにも次々と作品が寄せられ、時間が足りなくなって、司会の儀賀さんが「ではここまで~」と言うほどでした。野崎さんはすべての句を講評してくださり、記念すべき第1回がんサバ句会の入選作は以下のとおりとなりました。

★野崎海芋 特選
向日葵や カレーもいいね 土曜だし (矢後綾子さん)
神に名を 呼ばれし卯月 がん告知 (細野めろんさん)
缶ビール 思わずあける 午後3時(村本高史さん)

★がんサバネット みやこ賞

サルビアや 今年も咲いた 息子花 (佐藤京子さん)

夏雲や 伸びゆく稲に 風そよぐ (元雄良治さん)

土曜日の昼下がり、とても穏やかであたたかい時間でした。事務局、またやりたい!と勝手に盛り上がっております。

■■ 3. 【開催報告②】会員企画:秋田<百笑村>農作業体験会

7/16-17の週末、会員企画の農業体験会が秋田県大仙市の<百笑村>で開催され、会員6名が参加しました。百笑村がある「椒沢地域」は、令和元年度、秋田県の「守りたい秋田の里地里山50」 にも認定されています。受け入れホストはこの地で農業を営んで18代目(!)の佐々木義実さん。
この週末は雨という予報でしたが、土曜は奇跡的に晴れ間がのぞき、参加者は佐々木さんの田んぼめぐりや、牛のエサになる牧草採りのお手伝い(というかお邪魔)を体験することができました。
日曜は本格的な土砂降り。それでも、佐々木さんのご自宅で、農家の日々の暮らしや、減反や高齢化の中での農業の取り組みや地域づくり等についてお話を伺いました。
佐々木さんご一家の笑顔と温かいおもてなし、田んぼや畑の鮮やかな緑、牛やヤギたちの穏やかな瞳・・・。心癒される時間でした。そして、温泉施設ユメリアで汗を流し、ハンバーグの夕食をご一緒しながら、初めて会うとは思えない会員同士の交流を持ち、リアルの良さを実感する時間でもありました。ご参加のみなさま、大変ありがとうございました!

※がんサバネット会員は全国に広がっているため(さらに新型コロナ感染症のため)、当NPOの交流はオンラインが中心になっています。しかし、状況をよくみながら、リアルな交流機会も考えていく予定です。みなさまのアイデアもどうぞお寄せください!

【配信元】—————————–

※当メーリングリストは事務局のみ配信可能となっております。(返信はできません。)

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