がんサバネット通信第72号 - NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。GWが過ぎ、なんだか今年は時間がたつのが早いように思います。気のせいでしょうか・・・。さて、今回の通信は宮城在住の会員・西村和佳子さんのエッセイから始まります。また、１１月に予定される地方セミナー in 秋田の続報もあります。どうぞさいごまでお読みください！

【目次】—————

1. リレーエッセイ「ドキドキがとまらない本当の話です」　会員・西村和佳子

2. 地方セミナー in 秋田の企画が進んでいます！

3. 5月の「お鍋のじかん」～5/22 午後7時から開催します

■■　1. 「ドキドキがとまらない本当の話です」　会員・西村和佳子

　いつもではないが、二人で共に行動することがある。彼女は弱視で白杖を持ちながらスイスイ歩くのだけれど、慣れていない場所や人が多いところでは、二人の方が安心だという。「白杖を持った方が人がよけてくれる場合もあるけれど、踏まれることやぶつかられることもあるの。どちらがいいかわからないけど、白杖を持ってガイドヘルパーが隣を歩いてくれることが一番安心するのよ。」と。

彼女はサウンドテーブルテニス選手。大会であるホテルに宿泊したときのこと。温泉は地下。バブル期に建設されたのかなと思わせる南国の木が広い浴槽の周りにあってとてもいい雰囲気の温泉。

でも、その浴槽にたどりつくまでが実は難関だった。なんと脱衣所から浴槽まで下りのらせんタイル階段！素っ裸になって、自動ドアの前にたつと、ドアがゆっくり開く。手すりはちょっと年季が入っていて使えなさそう。滑ってしまったら共倒れ。白杖は危険なのでそんなときは持たない。彼女は私の肩とガイドが頼り。タオルで身体を隠すより私のバランスが大事と念じて「5段下ります。ゆっくりね。そのあとフラットで右回りにまた5段。まずそこまで。」と話す。

試合のサポートもだけど、この大会はこれも緊張する瞬間だった。本当は片方が手すりで片方がヘルパーの肩だと安定するし、彼女の場合手すりだけでも歩ける。けれど手すりが使えなそうなコトを伝えると「やだー手すりないの？直接触って（笑）ごめんね。」と彼女は私の肩に手を置く。「全然大丈夫。手すりは危険だから。ゆっくり行きます。1、2，3，4、5」と一緒に降りる。「ここから3段。そして左回りでまた3段いや4段でフラット。洗い場までは10歩程度です。」と変な汗がでながらうわずった声でのガイドだったなあ。

洗い場に着くとホッ。浴槽の中で足を伸ばしてリラックス。「気持ちいいねー。」と言った先から私の目線は階段。今度は上がらなければならない。とにかく自分が少しでも滑ってはいけない。「ふうーっ」と肩の力を抜いてから、再び力を入れ、意を決して一歩踏み出す緊張感が半端ない。上りは得意なのに、脱衣所まで遠く感じる。さっき浴槽で手足伸ばしてゆっくりしたはずなのに・・×5日間。

5日目の夜「だいたい階段の感覚、覚えた頃に帰るのよね。アハハハ。」と彼女。「そ、そうだね。気持ちよかったね。本当に滑らなくて良かった。」と声がうわずっていたのを彼女はきっと気づいていてクスッと笑っていただろう。彼女は私を信頼してくれているのか、覚悟を決めていたのか、なんだか余裕だったな。体験したくてもなかなかできないことをいつも彼女から教わる。脱衣所～階段～温泉まで「素っ裸体験」。そして、何が見えたのか、いつも何を見ているのかも教えてくれる。彼女と初めて一緒に参加した大会・つまり初めてウイッグを外したあの日から・・・。

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【事務局より】西村さん、まさにドキドキ、「素っ裸体験」。手に汗握って読ませていただきました。がんサバネット通信ではみなさまのご寄稿をお待ちしています。600-800字程度のエッセイを、いつでも事務局までお送りください。お読みになったご感想もお寄せいただければ、寄稿者の方にお届けしますね。

■■ 2. 【第二報】両立支援セミナー in 秋田の企画が進んでいます！

がんサバネットでは、年に一度地方開催のセミナーを企画しています。今回は秋田県庁との共催で、治療と仕事の両立についてのセミナーを開くことになりました。

開催日：11月4日（月・祝）

会場：秋田生涯学習センター

定員100名, 参加費無料

現在、秋田県内の患者支援団体や医療者の方々のご協力もいただいて、準備を進めているところです。参加申込みページは9月頃がんサバネット公式サイト内に立ち上がる予定です。残念ながらオンライン配信は予定されていませんが、写真をたくさん撮って、詳細にレポートいたします。どうぞお楽しみに！

■■ 3. 5月の「お鍋のじかん」～5/22（水）午後7時から開催します

毎月第4水曜日午後7時からのオンライン交流会「お鍋のじかん」は、お申込み不要、お出入り自由のじかんです。今月のお鍋は、22日です。今度はどんな話題が出ますかね～。ごゆるりとお立ち寄りください。

トピック: 5月のお鍋のじかん

時刻: 2024年5月22日 07:00 PM