■■■ がんサバネット通信 第25号 ■■■

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

穏やかな新年をお迎えのことと存じます。がんサバネット事務局でございます。各地から豪雪の便り、そしてコロナ禍第6波も急速に広がっています。みなさまへの影響が最小限でありますように。そして、不安の中でも現実的な手立てを講じながら、日々の楽しみを見つけていきたいですね。

通信第25号は、北九州市にある産業医科大学教員の柴田喜幸さんのエッセイから始まります。病気体験は人生の機微や慈愛を感じるきっかけになることもありますが、それが、別の誰かの<感情の向こうにある思い>を汲み取る力にもつながっているかもしれません。どう思われますか?

さて、2月の「がんサバネット1周年記念フォーラム」の会員先行予約を、本日から開始します。目次2をご覧ください。

新しい年がみなさまにとって温かい喜びにあふれた一年となりますよう祈念申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします!

【目次】—————

1.     リレーエッセイ 「ファンタジーからリアルへの架け橋に」 (産業医科大学・柴田喜幸)

2.      <会員先行受付開始!>がんサバネット1周年記念フォーラム

3.      ボランティアサポーター募集中!

4.      がんサバネット通信や公式サイトへのご投稿のご案内

■■ 1. リレーエッセイ 「ファンタジーからリアルへの架け橋に」
(産業医科大学・柴田喜幸)

私は産業医科大学で教員をしながら、がん就労を含む両立支援に携わる医療職や企業の方々の教育のお手伝いをしています。
その中で時折感じるのが、ファンタジー、つまり周囲の人が「全員いい人仮説」に基づく議論です。しかし現実の、特に企業の中では「1人前」の働きができなければ退場していただきたい、という文脈も稀ではないでしょう。そしてサバイバーの方々はそのような「気配」にことのほか敏感であり、それが「診断、即退職」という残念な選択にも至るとも聞きます。
一方で近年は、企業の人材への期待の風向きも変わり始め、実務能力だけでなく「他者の力を引き出せる力」、いわゆるソフトスキルも求められているようです。開発・営業・事務といった従来の本務は契約パートナーに任せ、自分たちはそのコーディネイト=気持ちよく全力を出せる仕組みや関係づくりに特化するというものです。そこで求められるのは、目の前の人の怒りや悲嘆という感情のその向こうにある深い思いを汲み取れる力ともいえましょう。
こんな例です。Aさんはがんを宣告され悲嘆し、翌日上司に退職を申し出たとします。ここで一般的には「こんな支援制度があるから早まるな(説得・情報提供)」「なぜ辞めたいと思うのですか(質問)」「辞めたくなってしまったのですね(オウム返し)」などになりがちです。ここでもう1つ先、質問への回答を仮想して提示すること(例:「治療や予後が不安で仕事どころではないし、周囲に迷惑をかけることが耐えられないと思っておられる、、」など)が相手の「良い方向への動機付け」に有効とされています(動機づけ面接法)。
がんに直面された方は、この相手に寄り沿い「(辞めたい、など)感情の向こうにある思いを仮想する力」に富んでいると思う次第です。
働き方改革の旗手と言われるサイボウズ社などは、そうした価値観の重視を通じ、ビジネスでも大きな躍進を遂げています。
それがファンタジーではなく、リアルに求められる時代がやってきています。だからこそそれぞれのお立場で、その感覚を研ぎ澄まし、活かしてみてはいかがでしょうか。

※事務局より: がんサバネット代表理事の高橋さん、副代表理事の村本さん、理事の小島さんは、以前、国立がん研究センターの「がんと共に働く」プロジェクトに参加していました。このプロジェクトが作成した企業向け「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」では、会社が心掛けるべき7ヶ条のトップとして、「本人の気持ちに寄り添い話し合う」を挙げています。支援制度も大事だけれど、その前に、本人の気持ちに寄り添いその言葉に耳を傾けることだ、というメッセージです。柴田さんのエッセイにとても通じますね。
国立がん研究センター 経営層ならびに人事・労務ご担当者の皆様へ「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブック」
中小企業編  https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/guidebook_sm.pdf
大企業編   https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/guidebook_l.pdf

■■ 2. <会員先行受付開始!>がんサバネット1周年記念フォーラム

2月11日に、がんサバネット設立1周年記念フォーラム「不安な時を生きる」を開催します。思いもよらぬコロナの時代、多くの人は不安な気持ちと共に暮らしています。しかしこれまでも、がん患者や家族は同じような不安と共に日々を過ごしてきました。このフォーラムでは、「不安な時を生きる」ことに焦点を当て、様々な観点から、心のありようや、不安な時を生きる中で支えにしていたことなどについて語り合います。

1/23までは会員のみなさまの参加申し込みの先行受付期間です。1/24以降は一般(非会員)にもオープンとし、先着90名まで受け付けます。お早目にどうぞ!

参加申込サイト

日時 2月11日午(金・祝)午後(検討中)

参加費 会員無料 一般(非会員)2,000円

定員 90名(先着順)

プログラム

第1部 基調講演 「不安な時を生きる」  儀賀理暁さん(理事)

第2部 座談会 「がんと向き合う不安の中で私たちが支えにしていたこと」

秋山美紀さん(副代表理事) 患者・コミュニティヘルスの観点から

島藤諭完さん(会員) 患者・企業経営者の立場から

栗原幸江さん(会員) 患者・(家族・)ケアの立場から

堀内玲子さん(会員) 患者・特に重複がん経験者の立場から

進行:高橋都さん(代表理事)・儀賀理暁さん(理事)

■■ 3. ボランティアサポーター募集中!

がんサバネットでは、活動を手伝ってくださるボランティアを募集中です。公式サイトの更新(WordPress)、活動記録動画の編集、チラシデザイン、集合型勉強会の運営補佐などをお願いできる方を探しております。これ以外の得意技も含めて、ボランティアが可能な方は事務局までメールでお知らせください!contact@jcsurvivorship.net

■■ 4. がんサバネット通信や公式サイトへのご投稿のご案内

がんサバネットの公式サイトやニューズレター「がんサバネット通信」は、みんなでつくる媒体です。いつでもご投稿ください! 送り先はいずれも事務局アドレスです。 contact@jcsurvivorship.net

  • リレーエッセイ: お題は自由、文字数は600-800字程度でお願いします。
  • 仮想図書館「サバイぶらり―」: ジャンルは不問。推薦したい本がある方は ①投稿者のニックネーム(本名でもOK)、②推薦図書名、③著者名、④出版社名、⑤本のカテゴリー:「いのちをみつめる」「くらしをいきいき」「こころをゆたかに」の領域のうちひとつ、⑥推薦コメント(50~100字程度)、⑦推薦本の表紙写真(電子データ)、⑧価格(税込み)をお寄せください。現在UPされている本への感想文も大歓迎!通信でご紹介します。 また、サバイぶらり―の本にはサイトから直にコメントもつけられます。 推薦コメントの下、「レビューを投稿する」をクリックしてください。コメントはいったん事務局に送られますので、どうぞご遠慮なく!
  • 全国津々浦々を知る「My Favorite Place」:①「思い出の旅」は、かつて訪れた国内外の旅のエピソードを、②「街自慢・故郷自慢」は、今お住まいの町や生まれ育った土地の自慢の場所・穴場をご紹介ください!コロナ禍が一段落したときのリアルな旅を夢見ながら、お互いに一足先に心だけ飛ばしましょう! ①②どちらかを明記の上、ニックネーム(本名でもOK)、エピソード(200~400字程度)に写真(5枚程度まで)を添えてください。旅パンフレットなど印刷物の写真は、出典を明記してください。

みなさまのご投稿をお待ちしております!

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※当メーリングリストは事務局のみ配信可能となっております。(返信はできません。)

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク

公式サイト https://jcsurvivorship.net/

問い合わせ先  contact@jcsurvivorship.net

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