みなさま、こんにちは。代表理事の髙橋 都(たかはしみやこ)と申します。
2020年10月、小さなNPO法人が、ようやくスタートしました。

サバイバーシップとは、人生をゆるがすような大きな出来事に遭遇した後、日々を生きていくプロセス全体のことを指します。がんという、ひょっとしたらいのちに関わるかもしれない病気を抱えながら、あるいは抱えた人に寄り添いながら日々を重ねていくこと全体が、がんサバイバーシップです。診断されたご本人、ご家族、友人、医療者、職場の人たち、支援団体、一般市民・・・。それぞれの立場のがんサバイバーシップがあるものと思います。

私は、はじめは内科の臨床医として、三十代半ばからは大学や研究機関に所属する研究者として、「病気と診断されたあとを生きること」を考え続けてきました。特に、7年前に夫に進行がんが見つかってからは、我が家もサバイバーシップを地でいくことになりました。がんは、暮らしのあらゆる場面に影響します。しかしその一方、診断されたからといって人の本質が変わるわけではありません。毎日の生活には思わず「ぷっ」と噴出す面白ネタが潜んでいますし、人はピンチに直面したときに思いがけない底力を発揮する(こともある)ようです。そのような毎日の小さな発見は、私にたくさんの気づきを与えてくれました。

前職の定年退職を機に、ずっと温めていたNPO設立というプランを実行に移すことにしました。幸い、これまでの活動を通じて多くの出会いに恵まれ、このNPOの役員や設立時発起人も、そのような仲間です。私たちは互いの活動やスタンスに共鳴し、こんな出会いをさらにつなげていけば、がんの影響を受けるすべての人が社会参加を妨げられず、安心感と充実感をもって日々を楽しめる社会をつくる一助になるのではないかと考えました。がんの影響を受けるすべての人が、集い、つながり、それぞれの立場から活動を生み出すことで、みんなが力を蓄えられるような場をつくっていけるのではないか。そう考えたのです。

活動の3本柱は、「学ぶ」「楽しむ」「発信する」です。みんなで企画していきましょう。また、事務局は東京に置きますが、「がん」をキーワードにしたご縁を活かして、全国津々浦々の志を同じくする仲間とのネットワークをひろげていきたいと思います。ロゴマークは、人と人が向き合うこと、そしてつながりを表すひらがなの「と」をイメージしています。

まずは小さな一歩からのスタートです! 新しいNPOを見守っていただければ幸いです。

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク
代表理事 髙橋 都