■■■ がんサバネット通信 第17号 ■■■

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク会員のみなさま

事務局でございます。外を歩くと、ふと金木犀の香りを感じる季節になりました。しかし、全国的に台風14号が猛威をふるっています。みなさまのお近くへの被害が最小限にとどまりますよう、お祈りいたします。

さて、「がんサバネット通信」第17号は、奈良市在住の会員で婦人科医の福本さんのエッセイ第2弾です。福本さんは、13号にご紹介した「図書館」と同時に、もう1本「静と動」というエッセイをお送りくださいました。がんサバネットには医療者も大勢参加していて、ご自身ががん体験や家族体験を持つ方も少なくありません。いろいろな視点が加わることで、はっとするような気づきが得られるときもありますよね。

【目次】—————

  1. リレーエッセイNo.17(会員・福本由美子)
  2. 9/23(祝・木)第3回がんサバネットオンラインカフェ参加申し込みまだまだ受付中!
  3. 10/30(土)特別企画「「東北と全国と」~あなたの東北エピソード絶賛募集中!

■■ 1. リレーエッセイNo.17(福本由美子)

「静と動」

私が研修医だった昭和の頃は日本ではまだあまり告知については積極的でない時代でした。日本人特有のあうんの呼吸で患者さんたちは「がんであろう」と知りながら、自分にがんであることを配慮して伏せている周りや医療者をねぎらうような気持ちで知らないふりをして過ごされているようでした。

 そんな時代に日々患者さんと話すうちに、闘病には二つの力が必要だなと感じるようになりました。その当時、女手一つで旅館を切り盛りしながら3人のお子さんを育て上げた女性と、ずっと主婦業に専念してきた女性の主治医をしていました。お二人の病との戦い方には違いがありました。旅館の女将さんは周りの環境や人に働きかけてそれを動かしていくことで自分の生活や病との戦いを乗り切っていくことに注力されていました。静と動で言えば「動」の戦い方に見えました。一方、主婦の方は置かれた環境の中でじっと耐えておられるように感じ、「静」の戦い方に見えました。もちろん、お二人の病状は異なっていましたし、お二人ともに静と動、その配分は違えど二つの要素をもって戦っておられましたが、この両方をいかにうまく兼ね備えるのかということが闘病の場面では必要なのだと徐々に知ることになりました。

旅館の女将さんは大変エネルギッシュに話をされ、「頑張ります」と自分に言い聞かせるようによくおっしゃっていましたが、抗がん剤の治療を途中で中止するに至りました。当時は薬剤の副作用も強く、それを軽くするような治療法が不十分でした。副作用にも個人差がありますが、そのつらさからか大変気持ちの落ち込みが強く治療を続けることはできなかったのです。「じっと時間が過ぎていくことを耐えることなんてもう無理」と言われました。研修医の私にはお話をお伺いすることしかできず、無力を痛感しました。抗がん剤治療には「静」の戦い方が必要なのだと思います。

 一方、様々に情報収集したり、セカンドオピニオン、医療機関の選定、自分の闘病環境を整えるべく要望を周りに伝えたり協力を得たりといった「動」の戦い方も重要です。

 この裏腹な静と動の戦い方を特にがんの闘病では、時に応じて場面に応じて発揮しなくてはならないと改めて思います。いずれにしても周りをどんな風に巻き込んでいくのかは闘病の助けになります。特に医療者は巻き込んでもらおうと患者さんを見守っていますし、このがんサバネットも闘病の中できっと助けになると感じています。

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※がんサバネット通信のリレーエッセイは、どなたでも寄稿できます。600-800字程度のエッセイを、事務局アドレス contact@jcsurvivorship.net までお送りください。My Favorite Placeやサバイぶらりーへのご投稿とあわせて、お待ちしております!

■■2. 9/23(木)第3回オンラインカフェお申込みまだまだ受付中!!

会員限定第3回オンラインカフェ「My Favorite Place~あなたをとっておきの心の旅へ」。お申込みが増えてきましたが、まだまだ大丈夫です!コロナ禍で思うように遠くに行けない今だからこそ、忘れられない旅の記憶や、身近な大切な場所について語り合い、いつか出る旅の参考にしましょう!

日時:2021年9月23日(木祝)午後1時30分~3時15分

会場:Zoom によるオンライン開催 (お申込みの方々にはURLを3日前にメールでお知らせします)

定員:30名(予定・・・増やせます・笑)

プログラム:

1部  それぞれの「My Favorite Place」 (50分)

以下の出演者が、「思い出の旅」、あるいは「街自慢・お国自慢」について語ります。

髙橋都(代表理事), 村本高史(副代表理事), 上野創(会員), 藤田理代(会員), 山内千晶(会員)

2部 座談会「旅の魅力、場所の記憶」 (45分)

第1部の内容を踏まえて、旅の魅力や大切にしたい場所のことなどを語り合います。参加者の皆さんもチャットを入れたりしながら一緒にお話ししましょう。

お申込みはこちら↓からぜひどうぞ!

■■3. 10/30(土)特別企画「「東北と全国と」~あなたの東北エピソード絶賛募集中!!

前号でもお知らせしましたが、このたびNPOがんサバネットでは、10/30に「東北と全国と~ご縁をつむぐオンライン交流会」(会員限定)を開催いたします。<東北>をキーワードとして会員同士がお互いを知り、温かく楽しい時間を共有したいと思います。(次の東北の旅を考える準備になるかも?)

第1部ではみなさまから寄せられた東北にまつわるエピソードをご紹介します。第2部では、病いを持ちながらも自分らしく暮らす東北在住の会員の生き方を紹介する動画(がんサバネットの7月下旬独自取材をもとにしたオリジナル作品)を公開します。現在、急ピッチで動画の編集作業が進んでいます。

つきましては、第1部でご紹介する「東北とあなたの大切なエピソード」を全国の会員のみなさまから公募します。

l  東北にまつわる人、物、体験等に関連して、あなたに力を与えてくれたエピソードをお寄せください。大切な人のこと、旅の思い出、おススメの本や音楽・映画、俳句や短歌(詠まれたときの解説文も)、歌など、ジャンルは何でもOKです!

l  エピソードは400字~800字くらい。関連する写真を数枚つけてください。

l  東北にお住まいの会員のみなさまはもちろん、全国からのご投稿大歓迎です。

l  宛先は 事務局 contact@jcsurvivorship.net  です。締め切りは9月末予定。

l  参加受付開始は9月下旬の予定です。

ご質問も、何なりと事務局までどうぞ。

以上です。今後ともNPO法人がんサバイバーシップネットワークをよろしくお願いいたします。

【配信元】—————————–

※当メーリングリストは事務局のみ配信可能となっております。(返信はできません。)

NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク

公式サイト https://jcsurvivorship.net/

問い合わせ先  contact@jcsurvivorship.net

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