☆南イタリア
初めて訪れたヨーロッパは2007年9月、新婚旅行での南イタリアでした。
アドリア海に面したバーリ、カプリ島、アマルフィ、ナポリに各2泊の10日間のゆったりした旅は、大らかなガイドさんとシニアのご夫婦たちとの心安らぐ旅でした。
世界遺産も数多く、絶景も度々目にしました。
中でも印象に残っているのは、アルベロベッロのとんがり屋根やマテーラの洞窟住居など、かつて、あるいは今も人の暮らしが息づく街。そして2000年前に活火山の大噴火で生まれた悲劇の街、ポンペイです。
でも、広大なポンペイの遺跡に佇むと、痛ましさを超え、かつて人々が暮らしていた温かい空気を不思議なことに感じ取ったのです。馬車の轍に大浴場、パン屋にキッチン等々、そこには人々が確かに生きていた痕跡が残っていました。
今、私たちはコロナ禍の中、窮屈な空気の中で暮らしています。時間を超え、空間を超え、人々の確かな暮らしに思いを巡らせることができるなら、同じ時代に生きる人たちの暮らしに思い巡らせ、温かい思いを感じることもできるはず。そんなことを今、改めて感じます。
不安や制約の多い毎日でも、心はどこまでも自由。想像力の翼で飛んでいきましょう。

(2021年9月29日 村本高史)